こちらのブログを読んで思うことがありブログにまとめました。
大前提
まず RubyKaigi 含め世の中にはたくさんのカンファレンスがあります。そのカンファレンスの中でも RubyKaigi は異色な存在だと個人的に感じています。
このブログにまとめている内容は RubyKaigi のみに適用できるかもしれないということを念頭に読んでください。
私自身、過去に採択された経験がありますので、自分の経験も踏まえまとめています。
このブログは私個人の見解であり、RubyKaigi Team やその他団体を代表する発言ではありません。
RubyKaigi 審査員が求めているもの
- Ruby にまつわるコードを書く
- 書いたコードを何かしらの方法で公開する
- 自分で書いて公開したコードの自慢話をする
端的にまとめると以上になります。
unasuke.fm season 2 #3 の Inside RubyKaigi や Rails Developers Meetup 2018 の RubyKaigi とかの話で明言されています。
「普段どのような Ruby のコードを書いているか」が最重要視され、プロポーザルの作文技術はさほど評価されません。
なので、日本Ruby会議2011 CFP虎の巻や RubyKaigiのCFPへの応募例は現在の RubyKaigi では参考になりません。2011 年は国際カンファレンス以前の Ruby会議であり審査基準が現在と異なります。須藤さんは Ruby コミッターであり、普段から Ruby のコードを書いていることが審査員には自明なので採択されています。
プロポーザルに書かなければならないもの
- 自分で書いて公開している Ruby のコードのリンク
自分で書いたコードだと分かる情報を記載する必要があります。Ruby コミッターであれば bugs.ruby-lang.org や GitHub で活動が分かるのであえて記載する必要もありませんが、Ruby コミッターでもなく著名な OSS の作者でもないのであれば、どれだけ自分がコードを書いたのか分かる情報が必要です。
プロポーザルが通らないもの
- Ruby on Rails にまつわる話
- ◯◯の使い方な話
- クローズドソースな話
Ruby on Rails にまつわる話
RubyKaigi が国際カンファレンスになってから社団法人日本 Ruby の会が運営をしています。これは米国 RubyConf の運営スタイルを踏襲しています。
米国 RubyConf は Ruby Central が運営しており、他にも RailsConf も運営しています。米国 RubyConf の CFP ガイドラインには「Ruby on Rails については RailsConf にプロポーザルを出してほしい」と書かれており、米国 RubyConf で Ruby on Rails の話が採択されることはありません。
RubyKaigi もこれを踏襲しており、Ruby on Rails にまつわる話は Kaigi on Rails にプロポーザルを出すのが望ましいです。
◯◯の使い方な話
こちらのブログで書かれていることが全てです。
RubyKaigi で登壇する人というのは
- ◯◯の作者
- ◯◯のメンテナー
- ◯◯に作者やメンテナーに類するくらいにパッチを書いている人
が多い印象です。繰り返しになりますが、作文技術を求めているのではなく普段書いているコードが評価されます。
クローズドソースな話
自社プロダクトの話が該当するかと思います。自慢話を求めているとは言っているものの、コードが公開されていないプロダクトの宣伝や事例紹介は求められていません。
どうしてもプロダクトの話をしたいのであれば、プロダクトで使っているソースコードを OSS 化してプロポーザルを出してみましょう*1。
どうすれば採択されるか
普段から Ruby のコードを書く
一番採択されるパターンです。いわゆる Ruby コミッター、もしくはそれに類するくらいの Ruby への貢献者が採択されます。
文章を書くのが下手くそでも Ruby のコードをちゃんと書いていれば誰でも登壇のチャンスがあります。
Ruby で誰もやっていないコードを書く
大きいところでいえば YJIT や WASM を Ruby で実現する話は採択されています。これらはキーノートクラスの話ですが、Ruby でコンテナを作ってみたり手書きパーサーを作ってみたり、と未知の領域や Ruby 的にやらなければいけないけど誰もやっていなかったことなども採択されています。
私が採択されたのもこの枠だと思っています。
おもしろ枠
Ruby でキックボクシングしてみたり、ゲーム機上で Ruby を動かしてみたり。誰もやっていないことではありますが、そちらよりは審査員に刺さるようなネタであれば合格点に達していなくても採択されるケースはあると思います。
まとめ
RubyKaigiの参加者層は、コロナによるオンライン期間を経てかなりの入れ替わりがあったと感じています。実際にスポンサー各社が公開しているアンケートや、自分で聞いて回った感覚などから、オフラインのRubyKaigiに初めて参加するという方の数は事実として相当多い様です。新しくRubyKaigiに参加される方々の中には、フィヨルドをはじめとするプログラミングスクールの卒業生であったり、会社の新卒であったり、転職を機にRubyに触れたりなど、しっかりとしたプログラミングの知識と実力を持ちつつもRubyでの実務に携わった時間で見るとまだ若手という方が多く居るように感じました。
kinoppyd さんが書いている通り、RubyKaigi 参加者にも若い方や初参加の方が多くなり大変喜ばしいです。一方で、RubyKaigi の歴史も長くなってきたので経緯を知らない方も多くなっているのではないかと感じています。
このブログでまとめた内容がいつまで通用するのかは分かりませんが、まだしばらくは続くのではないかと思います。作文技術が低くともコードを書いていれば採択されるカンファレンス、それが RubyKaigi です。これから RubyKaigi への登壇を目指す方は作文技術よりコードを書いて晒しましょう。
*1:採択されるかは分かりませんが